エステサロンを経営されているあなたに、まず一つ、根本的な質問です。
「お客様は、なぜ他の無数のサロンではなく、あなたのサロンを選んで通い続けてくれるのでしょうか?」
「それは、うちの技術が高いから」
「最新の痩身機器を導入しているから」
「スタッフの接客が丁寧だから」
もちろん、それらはすべて素晴らしい強みであり、お客様が満足する重要な要素です。
しかし、もし競合が「あなたよりも安く、同じ最新機器」を導入したら?
もし「あなたよりも丁寧な接客」を謳うサロンが現れたら?
お客様があなたのサロンを選ぶ理由は、揺らいでしまわないでしょうか。
ここで多くの経営者が陥りがちなのが、「施策(How)」から考えてしまう罠です。
「集客が減ってきたから、割引クーポンを打とう」
「流行っているから、新しいハーブピーリングを導入しよう」
これらはすべて、顧客が「何を求めているか」という“的”が定まる前に、
「どう売るか」という“矢”を闇雲に放っている状態です。
これでは、どれだけ矢を放っても(=広告費や労力をかけても)、成果に結びつく「確率」は著しく低くなってしまいます。
お客様は「施術」を買いに来ているのではない
ここで「確率思考の戦略論」の最も重要な概念の一つである、「顧客のJob(ジョブ)」という考え方をご紹介します。
「Job」とは、顧客があなたの商品やサービスを「雇用(Buy)」することで「片付けたい用事」や「解決したい本当の欲求」を指します。
お客様は、あなたのサロンに「フェイシャルエステ」という施術そのものを買いに来ているのではありません。
「肌を綺麗にしたい」というニーズすら、まだ表層的なものです。
お客様は、「肌が綺麗になることによって、得られる“何か”」のために、お金と時間を支払っているのです。
その「何か」こそが、Jobです。
* 表面的なニーズ (What):肌を綺麗にしたい、痩せたい。
* 本質的な欲求 (Job):
– 「3ヶ月後の同窓会で、『全然変わらないね!』と昔の友人に驚かれたい」
– 「夫(パートナー)から、もう一度『綺麗だね』と褒められたい」
– 「育児と仕事に追われる毎日で、たった1時間でも『私』自身に戻り、心身ともにリセットしたい」
– 「鏡を見るたびに落ち込む自分から解放され、明日の朝、自信を持ってメイクがしたい」
いかがでしょうか。
Jobは、非常に具体的で、時には感情的ですらあります。
顧客はこの「Job」を片付けるために、最もふさわしい解決策(=あなたのサロンのサービス)を必死で探しているのです。
戦略の第一歩は、この「顧客のJobは何か?」を徹底的に掘り下げ、仮説を立てることに尽きます。
“的”が明確になれば、そこに当たる“矢”を放つのは、そう難しいことではありません。
「Job」を射抜く施策が「集客確率」を上げる
具体的に考えてみましょう。
あなたのサロンのターゲットが「30代〜40代の、第一線で働く女性」だとします。
【NG:確率の低い施策】
– 施策:「働く女性応援!全メニュー20%OFFキャンペーン」
– なぜ低いか?:彼女たちのJobは「安さ」でしょうか? むしろ「時間がない」「精神的に疲れている」「成果を求められるプレッシャーがある」ことかもしれません。「20%OFF」というメッセージは、彼女たちの心の“的”を射抜くことはできず、他の無数の割引情報の中に埋もれてしまいます。
【OK:高確率な施策】
彼女たちのJobを、例えば次のように仮説立てします。
> Job A:「明日、絶対に負けられない重要なプレゼンがある。この疲れ切った顔では自信が持てない。今夜、短時間でいいから、肌も心も『勝負できる状態』に引き上げてほしい」
このJobを解決するための「矢(施策)」は、どうあるべきでしょうか。
メニュー提案:
– (×)「美白フェイシャル 60分 10,000円」
– (◎)「【前日夜仕込み】明日のための『絶対的自信』チャージフェイシャル 70分(高濃度ビタミンC導入+勝負顔ヘッドマッサージ付) 15,000円」
情報発信 (Instagram):
– (×)「最新機器導入しました!ビフォーアフターはこちら」
– (◎)「明日、大切なプレゼンを控えるあなたへ。たった70分で、肌も思考もクリアにし、『勝負顔』で朝を迎える方法とは? 当サロンは21時最終受付。あなたの“勝ち”を、肌からサポートします」
このメニュー名と発信を見た「Job A」を抱える女性は、「これは、まさに“私”のためのサービスだ!」と強く感じ、他のサロンと比較検討することなく、あなたのサロンを選ぶ「確率」が劇的に高まります。
「Job」を起点に戦略を立てるとは、こういうことです。
それは、1000人に「ふーん」とスルーされる曖昧なメッセージ(割引など)をばら撒くことではありません。
たとえ10人でも、そのJobを抱える人に「これだ!」と深く突き刺さるメッセージを設計し、確実に「雇用」してもらうこと。
これこそが、リソースの限られる個人サロンが取るべき、最も「高確率」な集客戦略なのです。
まずはあなたのサロンに通ってくださる、大切なお客様の顔を思い浮かべてみてください。
そのお客様は、本当は、何を「片付けたくて」あなたの元に来ているのでしょうか?
その「Job」を正確に定義することから、あなたのビジネスの「勝率」を上げる戦いは始まります。
想いをカタチに、そして成果に。
Articulating your passion, creating your success.

