BtoBシステム販売で「営業力」より先に設計すべきもの      第1回:誰の痛みを解決するのか(WhoとWhatの定義)

BtoBシステム販売で「営業力」より先に設計すべきもの
– 勝つ確率を高める「誰に」と「何を」 –

システムを販売していると、「もっと足繁く通えば売れるはずだ」「営業トークを磨かなければ」と、つい「営業力」ばかりに目が向きがちです。
でも、ビジネスの成果は運や根性ではなく、「選ばれる必然性(確率)」で決まります。

現場での本当の勝負どころは、押しの強さではありません。
「自社のシステムが、お客様の『激しい痛み』を癒やす唯一の薬だと認識されているか」
これができているかどうかが、勝敗を分けます。

この連載では全3回で、あなたの会社のシステムが「選ばれる確率」を戦略的に高めるステップについて考えてみます。

* 第1回:誰の痛みを解決するのか(対象顧客と提供価値の定義)
* 第2回:どこでお客様と出会うか(認知と接点の設計)
* 第3回:どうやって心を動かすか(コンテンツと営業プロセス)

今回はその第1回、戦略の根っこになる「現場の痛み」と「誰に売るか」のお話です。

1. システム導入は「多数決」の戦場である

まず前提として、BtoBのシステム導入は、たった一人の担当者の熱意だけで決まることはほとんどありません。
そこには複数の登場人物がいて、それぞれの「利害」や「感情」が絡み合っています。

* 現場担当者:「仕事が楽になる?それとも面倒が増える?」
* 課長・部長:「部署の目標達成に役立つ?」
* 情シス部門:「セキュリティは大丈夫?保守は?」
* 経営層:「投資対効果はある?」

これら全員が、あるいは決定権を持つキーマンが「これは自分たちのためのものだ」と納得するのを高めることが必要です。
そのため、最初にやるべきは機能説明ではなく、「この会社(工場)では、具体的に誰が何に困っているのか?」という核心をつく悩みを特定することです。

2. 「誰に」を絞ることで、刺さる確率を上げる

多くの企業は「ターゲットを広げたほうが売れる」と考えがちです。
「全業種対応」「あらゆる工場に」と言いたくなりますよね。

でも、実は逆なんです。
ターゲットは広げれば広げるほど、メッセージは薄まり、誰の心にも刺さらなくなります。
限られた経営資源を、勝てる確率が高い場所に集中させるため、顧客像を具体的な役職や状況レベルまで落とし込みましょう。

たとえば、こんなふうに絞ります。
* × 悪い例:「中小製造業向けの生産管理システムを探している方」
* ◯ 良い例:「多品種少量生産で段取り替えが頻発し、紙とExcelの集計ミスで毎晩残業している工場長」

こういうふうに具体的にして初めて、「あ、これは私のことだ!」とお客様の心が動きます。

 

3. 「何を」提供するのか? 利用場面で「便益」を見せる

対象顧客が決まったら、次は彼らに提供する価値です。
ここで大切なのが利用場面(ユースケース)です。
よく言われるように、お客様は「ドリル」が欲しいのではなく、「穴」が欲しいんです。
同じように、「システム」が欲しいのではなく、「楽になった未来」が欲しいんです。

機能一覧を見せるのではなく、「導入後の変化」を鮮明にイメージしていただくことが重要です。

たとえば、こんなふうに絞ります。
* 導入前(痛み):
各ラインの実績集計に丸1日かかり、改善会議はいつも”2日前の古い数字”を見ながら、「なんでできないんだ」と精神論で詰めている。

* 導入後(便益):
設備ごとの実績や停止理由がリアルタイムで見え、翌朝のミーティングでは”昨日の結果”をもとに、「ここを調整すればいける」と建設的な改善指示が出せている。

具体的に描くと、お客様にシステムを買うのではなく、「前向きな会議ができる組織」を買うのだと認識していただけます。
これで、選ばれる確率がぐっと上がります。

4. 「数字」と「感情」の両方を満たす

最後に、組織決定を後押しする材料を揃えます。
人間は「感情で動いて、理屈で正当化する」生き物です。
たとえば、
* 経営層向け(理屈・数字):
* リードタイム15%短縮
* 年間残業コスト300万円削減

* 現場向け(感情・共感):
* 「毎月末の徹夜作業から解放されました」
* 「トラブルの犯人探しをするギスギスした空気がなくなりました」

この「数字」と「言葉」をセットで用意できたら、現場担当者が上司を説得しやすくなり、稟議が通りやすくなります。

第1回のまとめと、第2回への予告

今回は、営業力の前にある「戦略の設計図」について書きました。

* 勝てる売り場を選ぶ: 誰のどんな痛みを解決するのかを絞り込む
* 選ばれる確率を高める: 「機能」ではなく、具体的な「解決後の未来」を見せる

これが定まると、営業は「売り込み」から「提案」に変わります。

次回の第2回では、今回定めた「誰に」と「何を」を、「どうやって」届けるかについて考えてみます。

* Web、展示会、紹介…どのチャネルが最適?
* 認知をどう広げる?

闇雲に広告を打つのではなく、最も効率よくお客様と出会うための「接点設計」についてです。次回もぜひご覧ください。

 

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