異業種交流会で営業してはダメなんです

異業種交流会や勉強会に参加するとき、
「何を話せばいいのだろう」「営業色が強すぎると嫌がられないだろうか」と、
少し緊張してしまうものです。

でも、ジェイ・エイブラハムの考え方を借りると、
こういう場所は「売り込む場所」ではなく、「信頼の種をそっと蒔く場所」なのです。

会場に入ったら、まず意識したいのは、自分の話をするよりも相手の話をよく聴くということ。
名刺交換の後、自社サービスを一気に説明したくなる気持ちはよくわかります。
でも、ここは少し我慢してみてください。
「どんなお仕事をされているんですか?」と聞いて、
そこから「その中で一番大変なことは何ですか?」と、相手の世界に一歩踏み込んでみる。
自分の話を真剣に聴いてくれる相手には自然と好意を抱いてしまうものです。

それから意識したいのが、「自分が何を売れるか」よりも「誰と誰をつなげられるか」という視点です。
相手の話を聴きながら、「この方は、あの人と話したら喜ぶかもしれない」と思い浮かぶ瞬間があれば、それはチャンスです。
その場で無理に紹介を完結させる必要はありません。
「後日、ご紹介したい方がいます」と一言添えるだけで、あなたは”売り込みをしない価値ある人”として印象に残ります。

名刺交換の際には、ほんの一言でいいので、次につながる言葉を添えてみてください。
「今日のお話、とても参考になりました」「後で関連する事例をお送りしますね」といった約束は、小さくても確かな接点になります。
この一言があるだけで、その後の連絡が「営業メール」ではなく「約束の続き」になります。

交流会が終わった後の行動も、とても大切です。
24時間以内に御礼の連絡がで切ると理想です。
かしこまった文章でなくていいです。
「昨日はありがとうございました。○○のお話が特に印象に残っています」と相手の話題に触れる一文を添えるだけで出会った時の温度を感じていただけます。
人は「覚えていてくれた」と感じた瞬間に、距離を縮めてくれるものです。

数日後には、売り込みではなく価値提供の連絡をしてみましょう。
相手の課題に関連しそうな記事や事例、ちょっとした気づきで構いません。
「ご参考になればと思い、共有します」という姿勢が大切です。
ここで商品説明を始めてしまうと、せっかく丁寧に育ててきた信頼の芽を自分で踏んでしまうことになります。

そして、1〜2週間ほど経った頃に、軽い再接触を提案してみてください。
「先日のお話、もう少し伺えたら嬉しいのですが、15分ほどオンラインでお話しできませんか?」という程度で十分です。
この時間も”売るため”ではなく理解を深めるため”のもの。結果として相手から相談が生まれれば、それは最も自然で健全な営業の形だと言えます。

異業種交流会で大切なのは、派手な自己アピールではありません。
相手を理解し、役に立ち、誠実に関係を続けること。
その積み重ねが、「そういえば、あの人に相談してみよう」と思い出してくれるのです。
営業活動とは、瞬間の勝負ではなく、信頼を育てる静かな営みなのだと、肩の力を抜いて臨むことが大切だと思います。

想いの強さを、確かな「信頼」の構造へ。

Articulating your passion, creating your success.

ミーニングフル・プラクシス

高橋尚文
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