「Where(戦う市場)」を見極め、勝率の高い専門分野で勝負する法
「行政書士の業務範囲は1万種類を超える」——。
この業務範囲の広さは、行政書士という資格の大きな可能性を示すと同時に、多くの先生方にとって深刻な悩みの種にもなっています。
「どの分野を自分の“専門”として打ち出せばいいのか?」
「建設業許可も、相続も、外国人の在留資格も…と手を広げてみたものの、どれも中途半端になっていないか?」
「問い合わせがあった業務を手当たり次第に受任していたら、知識のキャッチアップと実務に追われ、営業活動に割くリソースが尽きてしまった…」
これは、有限であるあなたの貴重なリソース(時間・労力・知識)が、あらゆる方向に分散してしまっている状態です。
例えるなら、一つの戦場に兵力を集中させれば勝てるかもしれないのに、100の戦場すべてに兵士を1人ずつ送っているようなもの。
これでは、どの戦場でも勝てる「確率」は極めて低くなってしまいます。
あなたが「戦う場所」は、本当にそこで正しいか?
「確率思考の戦略論」において、戦略を構成する重要な要素が「Where(戦う市場)」の選定です。
つまり、「どの土俵で戦うか?」を意図的に決めること。
情熱や努力はもちろん大切です。
しかし、そもそも「勝てる見込みのない市場(Where)」でどれだけ努力をしても、
その努力が報われる確率は低いままです。
戦略とは、やみくもに戦うことではありません。最も「勝率の高い」市場を見極め、
そこに賢くリソースを集中させることです。
では、その「勝率の高い市場」は、どうやって見極めればよいのでしょうか?
それは、以下の3つの軸で冷静に分析することから始まります。
1. 市場の魅力度(需要):その市場は、今後成長するのか? あるいは、安定した需要が見込めるか?
2. 競合環境(競合):その市場は、すでに強力なライバルがひしめくレッドオーシャンではないか?
3. 自社の勝算(強み):あなたのこれまでの経験、知識、人脈、あるいは「好き」という情熱が活かせる場所か?
「何でもできます」という看板を下ろし、「この分野なら高確率で勝てる」という市場(Where)を選ぶ勇気。
それこそが、行政書士が成功するための第一歩です。
市場選定が「成功確率」をどう変えるか
具体的な例で見ていきましょう。
市場A:相続・遺言
– 需要(◎):高齢化社会で需要は莫大かつ安定的。
– 競合(×):非常に多い。税理士、司法書士、信託銀行など競合も強力。価格競争にも陥りやすい。
– 勝算(△):よほど強力なコネクション(例:葬儀社や介護施設と太いパイプがある)や、他を圧倒する専門性がない限り、埋もれてしまう「確率」が高い。
市場B:外国人材の在留資格申請
– 需要(◎):深刻な労働力不足を背景に、市場は急速に成長中。
– 競合(○):専門性が高く、参入障壁も一定ある。競合は増えているが、需要の伸びがそれを上回っている状態。
– 勝算(○):もしあなたに語学力がある、あるいは特定業種(例:介護、建設)の知識が深ければ、他者より優位に立てる「確率」が上がる。
市場C:ドローン飛行許可申請
– 需要(△〜○):市場規模はまだ小さいが、物流、測量、農業などで急速に成長中。
– 競合(◎):非常に少ない。法規制が新しく、技術的な知見も求められるため、専門家がほぼいないブルーオーシャン。
– 勝算(◎):もしあなたの前職がITエンジニアや建設関係で、ドローン技術への理解が早ければ、このニッチ分野の第一人者になれる「確率」が極めて高い。
市場D:農地転用許可
– 需要(△):地域は限定されるが、太陽光発電設置や宅地開発などで、安定した需要がある。
– 競合(◎):非常に少ない。都市部の行政書士は敬遠しがちで、ローカルな専門知識が必要。
– 勝算(◎):もしあなたが地方在住で、地元の農業委員会や土地家屋調査士との連携が取れるなら、その地域で独占的な地位を築ける「確率」が高い。
「NPO法人・一般社団法人設立支援」なども同様です。
市場はニッチかもしれませんが、その分競合も少なく、設立後の運営サポートまでパッケージ化できれば、高単価で安定した「高確率」なビジネスモデルを築けます。
戦略とは「やらないこと」を決めること
お分かりでしょうか。
成功する行政書士は、「需要が大きいから」という理由だけで市場A(相続)に飛び込んだりしません。
たとえ市場がニッチ(市場CやD)であっても、「自分の強みが最大限に活き、かつ競合が少ない」という「勝率の高い」場所(Where)を意図的に選び、そこにリソースを集中投下するのです。
あなたの貴重な時間と情熱を、勝率の低い戦いに浪費してはいけません。
1万種類の業務すべてに対応しようとするのは、最も「確率の低い」戦略です。
まずは、あなたの「強み」を棚卸ししてみてください。
そして、その強みが活かせる「市場(Where)」はどこか、冷静に分析してみてください。
「やらない業務」を勇気を持って決めること。
それこそが、専門家として高確率で成功するための、最も重要な「戦略」なのです。
想いをカタチに、そして成果に。
Articulating your passion, creating your success.

