新規獲得について町工場の場合で考えてみました。
町工場にしたのは、新規獲得が難しいと考えたからです。
大前提:紹介待ちは「運任せ」、価格勝負は「消耗戦」
新規顧客の獲得は、次の4つの「掛け算」で決まります。
1. 知られているか(認知)
2. 声をかけられるか(商談)
3. 選ばれるか(成約)
4. また頼まれるか(継続)
紹介だけだと①が足りず、安さだけだと③④が続きません。
戦略とは、この4つを少しずつ伸ばす仕組みです。
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調達担当が選ぶのは「安い工場」より「安心できる工場」
本音を言えば、調達担当は「安さ」より「トラブルのリスクがないこと」を重視します。
選ばれる工場の4つの共通点
① 何が得意か、パッと分かる
– 「難しい材料の試作なら、あそこだ」と思い出してもらえる
② 技術的にダメ出ししてくれる
– 「この公差、厳しすぎませんか?」
– 「加工順を変えれば、もっと安くできますよ」
③ 品質と経営が信頼できる(重要)
– 検査データがきちんと残る
– 問題が起きても、原因追跡ができる
– 会社が潰れる心配がない
④ 社内に説明しやすい
– 会社案内や設備リストが揃っている
– 上司への稟議が通しやすい
「任せて安心」が最強の武器
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戦略は3ステップで考える
1. ターゲット:誰から、どんな仕事を取るか
2. 強み:何をウリに選んでもらうか
3. 行動:どう出会い、どうリピートさせるか
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ステップ①:ターゲット=「自社が最も楽に作れる仕事」を決める
やるべきこと:強みの棚卸し
次の軸で「うちが一番スムーズ」なゾーンを探します。
– 材質(アルミ、ステンレス、チタンなど)
– 加工(旋盤、5軸、複合加工など)
– ロット(試作1個 / 100個 / 1000個以上)
– 納期感(特急対応できるか)
> 例:「アルミとステンレスの中サイズ部品、100〜1000個が得意」
横展開:似た業界を狙う
今の取引先と「同じ精度・材質・ロット」を求める業界に広げます。
– 自動車部品 → ロボット、医療機器、食品機械
「今の客の隣にいるのは、未来の客」
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ステップ②:強み=「何でもやります」は「何が得意か分からない」
調達担当の悩みに刺さる言葉を用意します。
QCD+αを具体的に言語化
Q(品質):測定機器の種類、検査体制
C(コスト):「中ロットなら専用治具で20%削減」など根拠を示す
D(納期):標準リードタイム、特急対応の可否
+α(提案力):「図面のムダ指摘」「VA/VE提案」の実績
悩みを先回りする一言
「試作から量産まで一貫対応。移管の面倒がありません」
「3Dデータから直接CAM作成。設計の手間を省けます」
「困りごとを、先に言葉にする」
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ステップ③:出会いを増やす=準備×行動
最低限のツール(調達担当向け)
① A4一枚の会社案内(PDF)
– 設備リスト
– 得意な材質・サイズ
– 加工事例(写真付き)
② Webページ
– 「〇〇加工 試作」など検索されるキーワードを意識
③ 品質管理体制図
– 大手との取引には必須
「パッと見て分かる資料が、最初の信頼を作る」
出会いのチャネルを広げる
– 既存客に紹介を頼む:「こういう分野で困っている会社があれば」と具体的に
– 展示会・マッチングサイト:ニッチなキーワードで登録
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成約・継続のコツ
① 見積もりは「提案書」にする
ただの金額回答ではなく、
– 「材質を変えれば納期短縮できます」
– 「この形状なら、コストが下がります」
こんな一言を添えると、「パートナー」として認識されます。
② 「小さく」始めて、信頼を積む
最初は試作1個や、他社が面倒がる仕事から。
品質・納期・トラブル対応で信頼を勝ち取ります。
③ トラブル対応が命
不具合が出たら:
– 即報告
– 原因究明
– 再発防止策
この3点セットを素早く出せる工場は、リピート率が高い。
「トラブルは、信頼を作るチャンス」
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明日からできる3つのアクション
① 自社の「得意ゾーン」をA4一枚に書く
– 材質×加工×ロット×納期
② 調達担当に渡せる資料を作る
– 設備表・事例・品質管理体制
③ 既存取引先に「紹介のお願い」をする
– 作った資料を添えて、具体的に頼む
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戦略とは、特別なことではなく「当たり前を、少しずつ仕組み化すること」です。
この戦略論は町工場に限らず、制作会社、販売会社などBtoBの新規獲得に通じる基本です。
自社に当てはめて考えてみてはいかがでしょうか。
想いをカタチに、そして成果に。
Articulating your passion, creating your success.

