今、哲学者 竹田清嗣氏の著書「新・哲学入門」で<欲望論哲学>を必死に学んでいます。
何を言っているのか理解できないところが多く四苦八苦しています。
それでも生成AIに質問しながら三度目を読んでいるところです。
欲望論哲学はマーケティングに応用できると私は思っています。
そう思っていると中で以下の文章がありました。
「人間の欲望はその直接性から自らを分離し、人間は自己の欲望とその対象自身に対して一つの主権的主体となる」
その意味を調べ考えているうちにマーケティングのヒントになると思ったのです。
「人間の欲望はその直接性から自らを分離し、人間は自己の欲望とその対象自身に対して一つの主権的主体となる」
この文章を読み替えると
> 「欲望に振り回される側」ではなく
> 「欲望を編集し、方向づける側」に立て
という意味になるのではないか。
ここから、マーケティング/企画への応用を考えてみました。
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1. 欲望から一歩引くマーケター
マーケティング現場には、いつも強い「直接的な欲望」が飛び交っています。
* 「今すぐ売上を上げたい」
* 「バズらせたい」
* 「フォロワーを増やしたい」
* 「社長を満足させたい」
これ自体は当然の欲望ですが、ここに埋もれたままだと、
・とりあえず値引き
・とりあえず派手なコピー
・とりあえず流行りのSNS運用
といった「対症療法マーケティング」に流れやすくなります。
ここで一歩引きます。
> 「私たちはいま、何をそんなに欲しがっているのか?」
と、自社の欲望そのものを対象化してみるのです。
このメタな一歩を、「主権的主体としてのマーケター」のスタート地点にします。
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2. 顧客の欲望を“直接”ではなく“編集されたもの”として見る
次に、顧客側の欲望です。
多くのマーケティングは「顧客ニーズをつかめ」と言いますが、
現実のニーズはすでに社会・文化・情報環境の中で編集された欲望といえます。
たとえば、
* 「SEO対策をしたい」という声の背後には
→「集客の不安から解放されたい」「営業に依存しない状態になりたい」という欲望
* 「映えるLPが欲しい」という要望の背後には
→「自分たちの商品がちゃんと“価値あるもの”として見られたい」という承認欲求
があります。
さらに一歩引いて、
* この人は本当は何から自由になりたいのか?
* このサービスはどんな未来の感情状態を約束できるのか?
* その欲望は、短期の“便利さ”なのか、中長期の“意味”なのか?
と問い直します。
このプロセスは、竹田氏の言う「欲望とその対象を一緒にテーブルに載せる」作業に近いものです。
「SEO」「LP」「広告」という“対象”を、その人の“欲望”とセットで見直すことで、
コンセプトメイクが格段にクリアになると思うのです。
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3. 自社の欲望も対象化する:売上欲望との距離の取り方
実務でいちばん難しいのは、自社の欲望との距離の取り方です。
* 「今月の売上目標を達成したい」
* 「広告費のCPAを合わせたい」
* 「新サービスをとにかく打ち上げたい」
これらはもちろん重要です。ただ、これだけで企画すると、
> 「今だけ◯◯%オフ!」
> 「先着◯名様限定!」
のような、短期の“直接的欲望”を刺激する施策に偏りがちです。
ここでも、「主権的主体」として一歩引きます。
* このキャンペーンは、本当に中長期のブランドやLTVに資するか?
* 「今月売りたい」という欲望に引きずられていないか?
* 顧客の欲望の“質”を下げてしまっていないか?
たとえば、WebコンサルのLPを作るときに、
* 直接的欲望:
「今月中に20件の問い合わせが欲しい」
* 主権的主体としての問い:
「3ヶ月後、このLPを見た人たちと、どんな関係性でいたいか?」
この問いをすることで、コピーや構成が少し変わってきます。
* 「とにかく安く・早く作ります」ではなく
* 「事業の文脈から一緒にサイト構造を設計します」
* 「担当者が社内で説明しやすくなる資料もセットで提供します」
といった関係性を前提にしたベネフィットが立ち上がってきます。
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4. 主権的主体としての企画プロセス:4ステップ
竹田氏の欲望論哲学をビジネスに翻訳すると、企画プロセスは次の4ステップで整理できます。
① 欲望の棚卸し(顧客+自社)
* 顧客:
「この人は何を“欲している”と言っているか?」
「その背後で、本当は何を望んでいそうか?」
* 自社:
「自分たちは何をそんなに急いで達成したがっているか?」
ここではまだ、評価せずにとにかく書き出します。
② 欲望の“編集”
* 短期の欲望と中長期の欲望を分ける
* 衝動的なものと、意味志向のものを分ける
* 顧客と自社で「接点になり得る欲望」を見つける
ここで初めて、「どの欲望にコミットする企画にするか」を選びます。
③ 企画への翻訳
選んだ欲望を、
* ベネフィット(どんな良いことが起きるか)
* コンセプト(それを一言でどう表すか)
* 体験設計(LP、導線、サービス構成)
に落とし込んでいきます。
コピーライティングの現場では、
> 「顧客と自社の“欲望の交差点”に立つ言葉」
を探すイメージです。
④ 検証とリライト
実行したあとに、
* 数字(CVR、LTV、リピート率など)
* 顧客の声(問い合わせ内容、感想、クレームも含む)
をもとに、再び「欲望の編集」をやり直します。
ここでも、「数字が悪い=価格を下げる」ではなく、
> 「そもそも、どの欲望を前提に企画していたか?」
> 「その前提自体がズレていないか?」
というレベルまで戻るのがポイントです。
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5. 結び:欲望のエンジン+主体のハンドル
マーケティングは、結局のところ「人間の欲望」を扱う営みです。
ただし、竹田氏の欲望論哲学の視点を導入すると、
それは
> 「欲望のエンジンを全開にするだけの仕事」ではなく
> 「そのエンジンに、きちんとハンドルとブレーキをつける仕事」
にもなります。
* 顧客の欲望に巻き込まれすぎず
* 自社の欲望にも酔いすぎず
* その両方をテーブルに載せて眺め直し
* どの欲望に、どのようなかたちでコミットするかを決める
このとき、マーケター/企画者はまさに「主権的主体」として働いています。
「主権的主体」とは
欲望や感情から一歩引いて眺められる
この状態をただ飲み込まれるのではなく
「そう感じている自分がいる」と客観視できる。
その上で “どうするか” を自分で決める
感情のまま反応するのではなく、欲望と現実、短期と長期、相手と自分を見比べて、
「それでもこう振る舞う」と自分で選ぶ。
選んだ結果に責任を引き受ける
少し哲学を混ぜるだけで、
日々のLP一本、提案書一枚の意味づけが変わってきます。
企画を考えるとき、
「この施策は、どんな欲望をどう編集しようとしているのか?」
と一度問いを置いてみることから始めてみてはいかがでしょうか。
売上のためだけでなく、
関係性と意味をつくるマーケティングへの第一歩になるはずです。
想いをカタチに、そして成果に。
Articulating your passion, creating your success.

